第8章 仮面
昼休みはいつも仕事をしながら食べていて、時間のある日はランチルームを使っている。生徒だけではなくて教職員も使っていいことになっているので行きやすいし、生徒会長の跡部くんの寄付によってメニューも豊富・・・ハンバーガーのような軽食から本当にこんなものをランチで食べていいの?って思うものまである。
今日は軽めのランチにしようかな・・・多くて迷っちゃうのよね・・・。
「あ!楓ちゃーーーん!」
入って席を探していると、聞き覚えのある声が、私のことを呼んだ。賑やかなランチルームに響くその声の主は芥川くんだとすぐにわかった。恥ずかしくって小走りで近づいて制止した。
昨日のことがあったのに、気にする素振りもなくて。やっぱり気にしてるのは私ばっかりなのかな?普通に接してくれるのは、いいんだけれど。
「楓ちゃんこれから昼??」
「えぇ、今日は昼休みも時間があったからここで食べようと思って・・・」
見ると、向日くんと眼鏡の子と3人で食事のようだ。
向日くんは受け持ちのクラスで授業もあるし、奇抜な髪型で覚えていた。
「あ、ジローんとこに新しく来た担任やっけ?ジローのやつ、授業中寝てんちゃう?」
「あ、こっちはおっしー!テニス部の!がっくんもテニス部で一緒なんだ~」
どうも。と、“おっしー”と呼ばれた眼鏡の子が言った。関西出身なのかな?どうやら3人ともテニス部で一緒のようだ。“おっしー”と呼ばれた眼鏡の子は2人に比べると声のトーンも雰囲気も落ち着いていて、まるで子どもの世話をしているようで微笑ましい。
「テニス部は仲がいいのね。」
丁度奥の席が空いたので、またねと会釈をしてその場を離れた。