第5章 理性
チャイムの音で意識が戻ってくる。宍戸に、今日お前日直だろ、楓がノート持って来いだとよ。と言いながら俺の頭をノートで小突く。う~、眠い・・・体を無理やり起こして伸びをすると、クラスメイト達は俺の机にノートを置いていった。だいたい教卓に立って集めるのが一般的だが、寝てばっかの俺をみんなよくわかってる。サンキュ~と声をかけ、まどろんでいた。
ノートが集まると両手で持って数学準備室へ運んだ。
ドアだって開けようと思えば開けられるけど、開けて~と頼むと楓ちゃんが開けてくれた。
5月の初めに課題と補習を受けてからも、数学準備室へは何度も足を運んでいる。俺が学校でよく行くスポットは中庭、裏庭、屋上に保健室。この中に入れてもいいんじゃないかってぐらい。
キスはあれ以来してないけどさ。
補習を受けるのは俺だけじゃないし、四ノ宮センセーもいるし。まぁしようと思えばできるんだけどさ。
ここのソファは俺の昼寝にもってこいで、今日もそこへ腰を下ろす。部活は?って聞かれて、あ、って思ったけど、今日は自主練だし、眠気には勝てないし、休んでいくことにして横になった。ソファのいいポジションを確保すると、楓ちゃんは毛布をかけてくれて、あ、楓ちゃんの匂いだ・・・と、ぎゅっと抱きしめて眠りについた。