第5章 理性
いいなんて言ってないんだけど・・・。
ひざ掛けをお腹のあたりに掛けるとぎゅっとそれを抱きしめて眠っている。
窓から差し込む西陽はレースのカーテンで丁度良い日射しとなり、芥川くんの髪がキラキラと輝いている。ソファの横に膝をつき、思わず触れてみたくなる衝動を抑え、そっと寝顔を見つめる。天使の寝顔とはこれのことだろうか。むにゃむにゃと可愛らしくて目が離せなくなる。
気づけば理性などなくなって、そっと前髪に触れていた。くるっとカールした猫っ毛は本当に柔らかくて心地良い。そして自然と頬は緩んでしまう。
パチッ
音なんてしないのだが、そんな音が聞こえてきそうな勢いで芥川くんは目を開け、グッと引き寄せられたかと思うと唇が重なった。
「んんっ・・・!」
おもわず声が漏れる。首に回された腕に力が込められなかなか離れない唇。明らかにこの間の“お礼”とは異なるキスだった。
「ん、っ・・・はぁ・・・」
手で押しのけようとするもののそれを許してはくれず、息継ぎをしようと唇を開けばそこから侵入してきたのは彼の舌で、口内を探るように動く。私の舌を見つけ出すと絡ませてくる。
なにこれ・・・気持ちいい・・・