第4章 心臓の音が煩いと感じたのは初めてだ
中学生らしい・・・。前言撤回、お礼と称してキスをするなんて・・・。
油断した私が悪いのか、でも芥川くんのお礼だC~ってにこやかな表情と言葉はとても純粋に見えた。
生徒にキスをされたなんて、誰にも相談できないし、下手をすればこちらが教育委員会に訴えられ兼ねない。
でも嫌だったかって言えば、そうでもない自分がいる。ごく普通の家庭で育って、大学を出た。恋愛だってなんとなく付き合って、当時は好きだったけれどそのうち冷めてしまった。なんてことない平凡な日常を繰り返していた。今日の出来事は、少なからず私にとってドラマのような、そしてスリルのある出来事だったのだ。
「あぁもう、やめよ、忘れよう!」
帰宅してからも今日のことが頭から離れない。ベッドに体を沈め、クッションを抱きしめる・・・我ながら乙女・・・?部屋に響くのは時計の秒針の音、それより煩いのは、私の心臓の音だ。