第2章 出会いの話
ずるずると引きずられ、どさっと下ろされて、まだ眠たい目をこすって伸びをした。まだ覚醒しきらずぼーっとする中耳に届く声。
「ほら芥川くん、起きなさい?」
「ふぁぁぁあ・・・あれ、ここどこ・・・?」
さっきまで硬い机の上で寝ていたはずが、ふかふかのソファ、部屋もなんか狭いけど落ち着くっていうか、電気ついてないけどレースのカーテン越しに差し込む日差しがあったかいっていうか。
あぁ、また眠くなってきた・・・
「授業中ずっと寝ていたでしょう?ここは数学準備室よ。」
「えぇ・・・俺どうやって来たんだっけ・・・?」
「宍戸くんにお願いしたのよ。授業中、寝ちゃ駄目でしょう?」
まだ頭はぼーっとしているけどなんとなく意識ははっきりしてきた。あぁ、でもこのまま寝ちゃいたい・・・こんな昼寝にもってこいな場所あったんだな~。少しずつ覚醒してくる俺の目の前に、ヒラリと1枚のプリントを差し出しながら、放課後に提出すること。と言われて一気に目が覚めた。
「え~~~っ」
「寝ていたのはあなたなんだから。仕方ないでしょう。」
手渡されたプリントで顔を隠して残念なフリをしても気をつけるよう念を押されてしまう。
ちぇ・・・心の中で呟いてプリントの隙間からちらっと様子を伺うと今まで話していた声の主と初めて目が合った。