第7章 境界線の恋*二口堅治
ランニングから帰って来て体育館へと向かっていると
大きな音が聞こえてきた
「あ?なんだ今の音」
「調理室っスかね」
「調理室と言えば山城さんグミ作れたかな~」
は?グミ?
「グミって作れんのか?」
「簡単らしいっス!でも酸味が難しいらしいっス!!」
「......茂庭さん
俺用事思い出したんでちょっと抜けま~す」
「おい!二口!?」
「いいよ鎌っち
青根、連れ戻してきてくれるか?」
「......」
コクンと頷くと後を追いかけて歩き出した
『離して!?堅治助けて!!』
調理室まであと少しの所まで来た時に
葉月の声が聞こえてきた
慌てて走り扉を開いた
「葉月!!」
壁に追い詰められキスをされている葉月が目に入った
佐伯を引き剥がし葉月を抱き締める
『けん、じ...』
「佐伯お前覚悟はできてんだろうな?」
「はあ?覚悟ってなんだよお前何様?
ただの幼馴染みなんだろ?
彼氏でもないやつが邪魔すんじゃねえよ!?」
「うるせぇーよ
お前に葉月はやんねえ!?」
「葉月!お前はどうなんだよ!?
俺と二口どっちか好きなんだよ!!?」
腕のなかで葉月がビクッと震えた
背中に回しているグッと手に力をこめると
葉月は答えるようにぎゅっと服をつかんだ
「おい....うわっ!
な、青根!離せっ!?」
「黙れ佐伯
二口、コイツは連れていく
山城のそばに居てやれ」
佐伯の衿を持ち引き摺りながら調理室を出て行った
シーンと静まった調理室で無言で抱き合う二人
『.....けんじ』
抱きしめていた腕を緩めて少し離れると
涙を浮かべた瞳で見つめて来た
葉月ってこんな顔もできるんだな
『わたし....』
「葉月、俺は葉月のこと
世話のかかる妹って思ってた」
『...うん』
妹だと思ってたんだけどなあ
「好きだ」