第1章 彼女は王様の妹*及川徹
~葉月side~
『はぁ...』
「なんだ朝から心気くせえな」
『今日の放課後に備品買いに付きあうんだけどね』
「及川さんか」
『そう一緒に行きたいって』
すっごく気が重い...
及川さんの前だと素直に笑えない
はぁーっと溜息を吐いて飛雄と学校に向かう
「葉月は及川さんの事嫌いなのか?」
『え?別に嫌いじゃないけど...』
及川さんは女の子皆に優しい
私が特別ってわけじゃない
だからそっけない態度をとってしまう
"付き合って""彼女になって"と
言われた時正直素直に嬉しかった
でもそれは及川さんにとってはただの挨拶
私が及川さんから欲しいのは"好き"の二文字
ねえ及川さん気づいてますか?
私は貴女の事が好きなんですよ
「影山ー!
チンタラ歩いてると俺が勝つぞ!?」
「あ゛!誰がお前に負けるか!
待て日向ボゲッ!」
『いってらっしゃーい』
「何かあったら連絡しろよ!」
『はーい』
自転車に乗った日向を追いかけて
走り去っていく飛雄に手を振った
さあ私も急がないと朝練に遅れちゃう
びゅぅと風が吹き長い黒髪が風で乱れた
俯きがちで髪を整えながら少し速足で歩いていると
ドンッと誰かにぶつかってしまった
『スミマセン』
「ああー葉月ちゃんだ
おはよ~♡」
えっこの声は及川さん?
ってなんで抱きしめられてるんですか!?
「痛゛っ何すんのさ岩ちゃん!」
「朝から盛ってんじゃねえよエロ川!
大丈夫か葉月?」
いえダメです
きっと顔が真っ赤になってる
今は顔上げれないです
って言うか離して欲しいです...
『及川さん...』
「な~に葉月ちゃん?」
『こういう事は好き人にだけにして下さい』
勇気を出してチラッと及川の顔を見ると
目があった瞬間顔を赤く染められた
そんな反応された私自惚れますよ?