第6章 チョコより甘い物*花巻貴大
「あれっ?葉月ちゃん寝ちゃったの?」
「弁当作ったから寝不足なんだろ」
「悪い事したな~でも旨いなこれ」
「葉月ちゃんの手作り弁当食べながら
可愛い寝顔見られるなんて言う事無しだね♡」
見るんじゃねえよ葉月が穢れる
肩に置いてあった頭をそっと膝に乗せて
及川とは逆方向に顔を向けジャージをかけた
「「「ごちそうさま」」」
弁当を食べ終えても葉月がおきる気配はない
「葉月ちゃんも寝てるし今日はもう帰るか」
「及川さんが葉月ちゃんを運んであげるから
マッキーは荷物よろしくね☆」
「俺が葉月を運ぶからお前が荷物持てよ!?
あっ、やっぱいいわ。松川荷物持って一緒に帰ってくれるか?」
「ああ良いぞ。じゃあな岩泉」
「また明日」
「ええっ!及川さんは無視!?ねえ無視なの!!?」
バタンと屋上のドアを閉める
遠くで岩泉の怒鳴り声と及川の涙声が聞こえた
「悪いな荷物持ってもらって」
「別に構わねえよ」
両手に荷物と空になった大きな弁当箱を持って
一緒に家へと向かう
「なあ松川」
「あ?なんだ花巻」
「お前葉月のこと好きだろ」
俺の言葉にピタッと歩みを止める松川
「....ああ好きだ」
「葉月は自分では気づいてないだけですっごいモテる!!
まあ、俺が常に一緒にいて及川がアプローチしまくりで
他の奴から遠ざけてるけどなっ!」
「...そうだな」
「松川が葉月を好きなのは結構前から知ってた
好きなら俺から奪うつもりで来いよ!」
「は!?馬鹿かお前なに言ってんの!?」
「お前告白もしないで身を引く気だろ?
負け戦はしない主義か~そうだよな~
彼氏が俺じゃあ勝目無いか~」
「俺がいつお前に負けたって?
せっかく身を引いてやったのに
その勝負受けた!?」
「そう来なきゃな。まあ負ける気はさらさらねえよ!!
俺、負け戦はしない主義だから」
「ムカつくな!ぜってぇふり向かせてやる!?」
二人は楽しそうに笑った