第5章 アナタまでの距離*国見英
~葉月side~
今日は私の17歳の誕生日だ
いつもギリギリに部活に来る
国見が珍しく早くにやって来た
朝一番に国見君に会えて嬉しい
"今日は俺が連れて行きたい場所があります"
もしかして私の誕生日知ってるの?
「楽しみにしててくださいね」
国見君の笑顔好きだなあ
でも直視は出来ないよ
今日1日そわそわして過ごした
放課後になり部活の時間
なぜか調子が悪い国見を心配したが
"矢巾さんのトスが打ちにくいだけ"
と言う声が聞こえて来て安心した
「お待たせしました」
部活が終了して先に着替えて校門で待っていると
国見がやって来た
「では行きましょうか葉月」
名前呼びまだ慣れないなあ
国見の案内で向かったのは二駅先の
スイーツバイキングの店
こんなとこあったんだ知らなかった
『わあっ凄い!!
みて!イチゴがあんなに沢山あるよっ!?』
好きなイチゴがたくさん並んでいて
テンションが上がりはしゃぐ私に
"転びますよ"と国見に注意をされてしまった
トレーにたくさんのケーキを乗せていると
国見も取ってくると言って別れた
一度トレーを席に置いて二つ目のトレーに
またたくさんのケーキを取って席に着いた
『遅い...』
暫く待っていたが帰って来ない
見に行ってみようかな
国見が歩いて行って方に向かうと
女の人に絡まれているのを発見した
『一人でいるのは寂しいから迎えに来ちゃった♡』
近づいてにっこり微笑んでそう言えば
相手の女の人は目を見開いてびっくりしていた
国見が"あれ"を取りに来たと言ったその物とは
少し小ぶりのイチゴタルトに
"Happy Birthday 葉月"の文字
「葉月お誕生日おめでとう」
『ありがとう』
祝ってもらえた事が嬉しくて
ふんわり微笑んでお礼を言った
「受け取ったし席に帰ろう
アンタら男漁ってないで大人しくスイーツ食べたら?」
そう捨て台詞を吐いて席に戻った