第5章 アナタまでの距離*国見英
ケーキを葉月に渡して
一緒に個室へと帰ってきた
トレーが二つに増えてる...
「たくさん取ってきましたね
こんなに食べれるんですか?」
『大丈夫ちゃんと全部食べるから🎵』
モグモグと幸せそうに口いっぱいな頬張る姿を
見ながら紅茶を飲んだ
『く...英は食べないの?』
「葉月の食べる姿見てるだけでお腹いっぱい」
ホント良く食べるな...
その細い体のどこに入ってるんだろ?胸か?
あ、口元にクリームがついてる
腰をあげ片手をテーブルにつき
もう片方の手で葉月の顎を持ち上げた
『!?』
吸い寄せられるように
口元のクリームをペロッとなめとった
「甘い」
『な、なっ!』
「ん?どうかしましたか?」
真っ赤な顔で口を魚のようにパクパク動かす
その姿が可愛くて葉月の手からフォークを奪い
Birthdayケーキを掬い上げた
「ハイどうぞ」
『んぐっ.......美味しい!!!』
途端にパッと笑顔になる
また同じようにケーキを掬うと
アーンと口を開く葉月
ひな鳥みたい...
Birthdayケーキを食べ終えてフォークを返してほしいと
言われたが返す気は一切無い
『次はそれが良いな』
フォークを返してもらえないとわかると
葉月は羞恥よりも食欲が勝ってしまい
次を催促して口を開いて待っていた
凄いな...
あんなに大量にあったケーキも最後の1個になった
同じようにそのケーキもフォークで掬い取った
『あっそのケーキは...』
「?」
『...英に持って来たの』
「俺に?」
『あのね...英はキャラメルが好きだって聞いたから』
正確には"塩キャラメル"だけどね
『このケーキはキャラメル味なの
......食べてくれる?』
"ケーキじゃ無くあなたを食べたい"
.....それじゃ及川さんじゃない
口が裂けても言えないな
『英?』
フォークを持ったまま動かなくなった俺を
下から覗き込んで来た
「じゃあ今度は葉月が食べさせて?」