第5章 アナタまでの距離*国見英
『えっと...どこ行くの?』
「着いてからのお楽しみです」
にっこり微笑めば恥ずかしそうに
頬を染め小さく頷いた
少し混雑した駅に到着
電車に乗るの?と聞く葉月にそうです
と答え乗り込んだ
二駅ほど先で降り向かった先は
季節限定のスイーツが楽しめる
スイーツバイキングの店
ここの店は少し変わっていて
小さな個室で周りを気にすること無く
思う存分スイーツを存分堪能できる
しかも今日は土曜日
カップル限定の商品が並ぶ日だ
『わあっ凄い!!』
荷物を個室に置きトレーを手にして
瞳をキラキラ輝かせる
『みて!イチゴがあんなに沢山あるよっ!?』
「あんまりはしゃぐと転びますよ」
いつも葉月はスイーツを2個と紅茶を頼む
その時必ず1個はイチゴを使った物を選んでいた
たんに季節の物だからと思っていたが
食べている表情を見ていると
イチゴが大好きなんだと気づいた
一口サイズのスイーツをトレーにめいいっぱい乗せる
その殆どがイチゴだった
「俺も取って来ます先に席に帰っててください」
『うん分かった』
ここなら客が女ばかりだから
一人にしてもナンパされないだろう
そう思って安心していた
「あの~お一人ですか?」
「は?」
「良かったら私達の所に来ませんか?」
こんな所で逆ナンしてないで
大人しくスイーツ食ってなよ
「彼女と来てる
スイーツバイキングに一人で来るわけない」
「え~でも最近はスイーツ男子も居るし
一人で来てもおかしくないよ」
「と言う訳で一緒に食べようよ♡」
鏡見て出直して来い
『私の彼に何の用?』
「葉月」
『一人でいるのは寂しいから迎えに来ちゃった♡』
「変なのに捕まって
葉月に"あれ"を食べさせたくて
取りに来たんだ」
「お待たせいたしました
こちらご予約の商品になります」
『え?』
少し小ぶりのイチゴタルトに
"Happy Birthday 葉月"
のプレートが乗っている
「どうも
葉月お誕生日おめでとう」
『ありがとう』
「受け取ったし席に帰ろう
アンタら男漁ってないで大人しくスイーツ食べたら?」