第4章 甘い物にはご用心*花巻貴大
~葉月side~
ここ数日まともに貴大の顔を見ずに過ごした
「葉月、明日なんの日か知ってる?」
『週の真ん中水曜日、平日だよ
私、用があるからもう帰る』
ホントはわかってる
バレンタインデーでしょ?
今年は高校最後だから
気合いを入れて作るつもり
毎年"義理チョコ"と言って渡していたけど
今年は"本命"とわかるように貴大の分だけ
特別な物を手作りするつもり
急いで家に帰るとキッチンに材料を並べる
作るのはもちろんシュークリーム
中のクリームをチョコに変えた
バレンタイン仕様だ
オーブンの前でジーッと生地が膨らむのを見つめる
よしっ!イイ感じ🎵
今のうちにチョコクリームを作ろう
焼きあがったシュー生地にチョコクリームを入れ
箱に詰めリボンをかければ出来上がり
あとはバレー部のみんなの義理チョコを作るだけ
今年はチョコとマシュマロとクリームチーズを使った
"混ぜるだけ簡単!絶品チョコバー"を作った
人数分に切り分けて1個づつ袋に入れた
これでチョコの準備は完璧
後は私の心の準備だけだけど...
『うぅ...今からドキドキするよ~』
明日、貴大に告白する
幼馴染から彼女に昇格する為に
......昇格出来るだろうか?
バレンタイン当日の朝
今日は貴大の家には寄らず真っすぐに学校へ向かった
「おはよ~葉月ちゃん」
『おはよう及川、はいコレ』
「わぁ~チョコだぁ~ありがとう」
『義理チョコだからね』
ポンポンと次々に手渡していく
「なあ葉月ちゃん」
『なに松川?』
「今年は花巻に本命渡すんだろ?」
『へ?!』
な、何でバレたの!!
「「何でバレたの!!」って
今思ったろ?」
松川ってエスパーだったの?!
「花巻が好きなシュークリーム作ったんだろ?
バレバレだっつーの」
私が持っている袋を指さした
綺麗にラッピングされ
他のみんなより大きい
確かにこれではバレバレだ
ニヤニヤしながら頑張れよと
松川は私の頭を叩いて歩いて行った
言われなくても頑張りますよっ!!?