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幻想〘HQ〙

第4章 甘い物にはご用心*花巻貴大


それから数日後
今年もまたやって来た


「及川さ~んコレ貰って下さ~い♡」


「ありがと~」


女の子が"好きな男"に
チョコを渡す日
"バレンタインデー"だ


今年は貰えるだろうか...


そんなことをぼんやり思いながら
及川を見ていると目があった


「どうしたの~マッキー
あっ!マッキーは葉月ちゃんからチョコ貰った?
及川さんはさっき貰ったよ♡」


「ああそうかよ良かったな
俺は貰ってねーよ!?」


毎年バレンタインデーに手作りのチョコを
葉月から貰っていたが
高校最後のバレンタインデーは貰えそうにない


「なに喧嘩でもしたの~?」


「してない...」


そう、喧嘩した覚えはないのだが
あの日からなぜか必要最低限の
言葉しか交わしてくれない


「マッキーってば葉月ちゃんになにしたの?
ああっ!?もしかしてマッキー」


「もしかしてってなんだよ」


「そんなこと及川さんの口から言えないよ~」


ニヤニヤしながらこっちを見る及川にイライラしていると


「いい加減にしろクソ川!?」


岩泉のスパイクが
及川の頭にヒットした


「ちょっと岩ちゃん何すんのさ!?」


「休憩は終わってんだよ!
さっさと来い!?」


「もうそんなんだから
葉月ちゃんの義理チョコ以外貰えなっ
痛゛ー!?」


「バカだな~及川
お前知らないねーの?
コイツ本命何個も貰ってんだぞ?」


「ええーっうそ!及川さん聞いてないよ!?」


「うっせえー!
何でいちいちお前に報告しなきゃいけねえんだよ!?」


本命か....
俺は葉月から貰えればそれだいいんだけどな


「で、花巻は何落ち込んでんの?」


「別に落ち込んでねえよ」


「あっ!葉月ちゃんだ」


「!?」


勢いよく後ろに振り向くと
笑い声が聞こえて来た


「お前分かりやすいな~」


くそっ騙された


「うっさい!お前も葉月から貰ったのかよ?!」


「悪いな俺も貰ったぞ」


お前も貰えると良いな~
と笑いながら肩を叩かれた


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