第1章 彼女は王様の妹*及川徹
ん~とスポドリの粉に
テーピングあとは...なんだっけ?
『...及川さん』
「な~に葉月ちゃん?」
左手にはカゴ右手には葉月の手を
握りしめにこにこ微笑む
『イエナンデモアリマセン』
も~ホント可愛いんだから~
ぜっっったい手離さないんだからね♡
「葉月」
へ?
『えっ若利?』
ウシワカーー!!
「葉月ここで何をしている」
『なにって部活の買い出し?』
「なぜ疑問形なんだ」
『若利こそ1人でなにしてるの?』
「ああ俺は...」
「ちょっと待ったー!!」
「居たのか及川徹」
「"居たのか"じゃなーい
なんでウシワカが葉月ちゃんの事
呼び捨てにしてんのさ!?」
『それは...』
「俺と葉月が付き合っているからだ」
は?今何て言った?
「ええっと"買い物"に付き合ってる?」
「"恋人"だと言っている」
コイビト?今コイビトって言った?
コイビトってあれだよね
手をつないだりキスしたり
イチャイチャしたり
二人で気持ち良いこと......
『あの及川さん?』
「葉月ちゃん!!?」
『ハイ!!』
「ウシワカと付き合ってるって嘘だよね?!」
『あっはい!
正確には"付き合っていた"です』
「ホント!?」
「俺は別れたつもりはない」
『まだ言ってるの若利
しつこい男は嫌われるよ?』
そーだそーだウシワカなんか
葉月ちゃんに嫌われろ!!
『私いま好きな人いるから』
そ-だそ-だ葉月ちゃんには
好きな人が......ん?
それってもしかしてトビオちゃん?
「それは"とびお"と言う男か?」
『飛雄?違うよ飛雄は私の兄』
兄?兄ってことは兄妹って事だよね?
葉月ちゃんの苗字は"影山"
でもでもでも同じ学年だよね
どういう事意味わかんないんだけど!?
『私が好きなの人は..........及川さんだから』
え!?空耳じゃないよね?
俺の耳の聞こえた声空耳じゃないよね!?