第11章 近距離と遠距離

「ううん。お姉ちゃんは寧ろガンガン行けって言ってたくらいなんだけど・・・・私がそこまで積極的になれなくて・・・・」


「なるほど・・まぁ、これからいくらでも出来るよ。るぅはいい娘だからな。」


「それよりも前に人と接することを克服しないとダメだねｗ」


「うん。急がなくていいから。徐々に頑張ればいいよ。」


「ハルさん、ありがとう。で、ハンバーグは美味しい？」


「いきなりだなｗ美味しいけどｗ」


食後にコーヒーを入れてくれたるぅが


俺の前でモジモジしながら捨て犬のような顔で俺を見ていた


(あぁ、ケーキが食べたいんだな・・・)


「出してきていいよケーキ。」


そう言うと一瞬にしてぱぁっと明るい笑顔になり


嬉しそうに冷蔵庫にケーキを取りに行き戻ってきた


箱を開けたるぅがさらに目を輝かせて


「苺とショコラ！！！！！！」


「るぅはどっちが食べたい？」


そう聞くと、真剣な顔で悩みだした


「苺も美味しそうだし・・・ショコラも捨てがたい・・・・私はどうしたら良いの？」


真剣に悩み、独り言を言ってる彼女が面白くて


しばらく見守っていた


「えーーーーーー。どうしよう決められないーーーーーーーーー！！！！」


「・・・・いつになったら食べれる？ｗ」


「もうちょっと・・・・悩ませてｗ」


「クッ・・・・いいよ。両方食べても。」


「え？だって、そうしたらハルさんの分なくなっちゃうもん。」


「俺は今度食べるから、今日はるぅのために買ってきたようなものだから、両方食べていいよ。」


それを聞いた彼女がまたさっきと同じような笑顔になった


そして嬉しそうにケーキを食べ始めた


何口か食べた彼女に問いかけてみた


「お姫様、美味しいですか？」


「うん。すごく美味しいよぉ♪ありがとうハルさん。」


「一口ちょうだい。」


「うん、ちょっとまってフォーク持ってくるよ。」


「そのままでいいよ。」


そう言って、彼女が食べていたフォークを借りて


ケーキを一口ずつ口に入れた


目の前では真っ赤な顔をした彼女が


フォークを握りしめたまま固まっていた


俺は彼女が固まっている理由がわからなかった