第11章 近距離と遠距離
陽斗side
最近のるぅはよく喋る
俺がいない間の出来事を話してくれる
今日はどこに買い物に行ったとか
何が安かったとか
だけど学校の友だちの話が出てこない
前に優季に聞いたことがあるが
中学生の頃から人付き合いが苦手になったと言っていた
それはきっと対人恐怖症の原因でもあるのだろう
きっとあんまり有意義な学校生活を
送っていないのではないかと考えてしまう
それを本人に聞いてもまともな答えが返ってこないだろう
それなら本人が言うまで待つしか無い
幸いなことにるぅは俺に慣れてきてくれているようだ
お陰で生活もしやすい
優季との約束の彼女を守る事もし易い
彼女が傷付くことにならないようにしてあげたい
彼女がさっき言っていた
月と太陽の話に
どんな不安や悲しみをかかえているのかわからない
甘やかしだと言われればそうかもしれないが
それでも今の彼女には必要な事だと想っているから
彼女の笑顔が曇る事のないように願いを込めて
そんなことを考えながら俺は眠りについた