第10章 月と太陽
恐怖で何も考えられなくなりかけた時だった
「俺の連れに何か用ですか?」
「ちっ!男がいたのかよ。」
「おい、行こうぜ。」
ナンパしてきた二人組はハルさんの登場に
舌打ちをして去って行った
「るぅ、大丈夫か?とりあえず、今持ってるの借りて出ようか。」
「は・・・ハルさん・・・」
ハルさんは受付カウンターでレンタルの手続きを済ませると
急いで店を出た
帰り道ハルさんは手を繋いでくれた
声をかけられた恐怖からか震えが止まらなかった
マンションについて部屋に入った私達は
リビングでソファーに座った
自分の右手を左手で握って震えを落ち着けようとした
だけど、それも治まらなくて泣きそうになった
それを見ていたハルさんに
抱きしめられた・・・・・
私はハルさんの胸元に耳を寄せられた
「は・・・・ハルさん?」
「るぅ・・目をつぶって。」
言われたとおり目をつぶる
感じるのは
ハルさんの心臓の音
トクントクンとリズムを刻んで聞こえる
「怖かったな・・・もう大丈夫だ・・・よく我慢したね・・・偉かった。もう安心していいよ。もう大丈夫だから・・」
ハルさんの言葉に
何故かすごく安心した
誰かの腕の中が心地良いと思ったのは初めてだった
男性に触れられるのが恐いと思っていたのに
ハルさんの腕の中は
居心地がすごくいい・・・・・
「ハルさん・・・・」
「・・・ん?」
「ありがとう・・・」
「るぅが・・・・・笑っていられるならそれでいい。」
そのままハルさんはしばらく抱きしめてくれていた
私が落ち着くまで・・・・・