第32章 彼と彼女の距離
瑠李side
マンションの前で無言で家まで連れて行かれて
私はハルさんがそこまで怒っている事がわからなかった
「ハルさん?どうかしたの?」
そう聞くといつもと違って強い口調で
「どうかしたのじゃないだろ?何考えてるんだ?メールをしても返事がないし。電話をかけても出ない。こんな時間まで一体何をしていたんだ?」
「文化祭の準備をしてて、終わってから綾ちゃんの彼氏さんが迎えに来てくれて、一緒に晩御飯をごちそうになったんだよ。携帯はサイレントにしてたから気が付かなくて・・・。」
「今までの件もあるから、気を付けておくべきだろ?連絡がないままだと心配することくらいわかるよな?」
そう言われて素直に思ったことを伝えた
「家に帰ってきても1人だと寂しいし、ハルさんがお仕事忙しいから邪魔しちゃ悪いと思って連絡はなるべくしないようにしてたんだよ。それでもするべきなの?」
「家におとなしくいるならそれは要らない事くらいわかるだろ?家に居ないし、連絡もつかないってどう感じるかわかるか?俺だけじゃなくて、雅人や優季もるぅに何かあったら心配するだろ?そいうこともきちんと考えて行動するべきだ!子供扱いされたくないというなら尚更だぞ。」
心配してくれている事はわかるけど・・・・
伝わらない気持ちと言えない気持ちで
段々悲しくなってきて捨て台詞のように言った
「もういいもん!ハルさんなんか知らない!お風呂入って寝ます。おやすみなさい!」
お風呂でシャワーを浴びながら泣いた
伝わらない悲しさと言い過ぎた自分の子供ぽさに
久しぶりに自分の部屋のベットに入ったが全然寝付けなくて
眠れたのは朝方だった
ドアが静かに閉まる音がして鍵がかかったので起き上がると
ハルさんは出勤してしまったようで
キッチンには空になったコーヒーカップだけが残された
私はそれをみてまた悲しくなり涙がこぼれた
そして目を腫らしたまま学校に向かった
学校では綾ちゃんがすごい顔して驚いていた
「あんたその顔どうしたの!?何があったの!?」
私は綾ちゃんに迷惑を掛けたくなくて
昨日悲恋の映画を見たと嘘をついて誤魔化した
綾ちゃんは渋々納得してくれた