第32章 彼と彼女の距離
陽斗side
仕事が一段落ついたこともあり一度家に帰ることにした
ただ、俺が彼女に会いたかったから
いつもの様に帰るメールをしても返信がなかった
俺は最寄り駅について直ぐ電話したが繋がらなかった
以前の事もあり心配になった俺は自宅まで走った
管理人室で声をかけると案の定帰っていないと言う
俺は何度も携帯に掛けるが出る様子はない
既に時刻は23時を過ぎていて
仕事の忙しさに余裕をなくし
彼女の安全を疎かにした自分に苛立った
義兄に電話を入れようとした時
マンションの前に1台の車が停まり彼女が降りてきた
車の相手に手を振った彼女は楽しそうにエントランスに入ってきた
俺に気がついた彼女は
「あ、ハルさん今日は帰ってこれたんだwおかえりなさいw」
笑顔で言った彼女のセリフにいつもの俺なら癒されるはずだが
今日はそれが許せなかった
るぅの手を掴み無言でリビングまで連れて行った
「ハルさん?どうかしたの?」
「どうかしたのじゃないだろ?何考えてるんだ?メールをしても返事がないし。電話をかけても出ない。こんな時間まで一体何をしていたんだ?」
「文化祭の準備をしてて、終わってから綾ちゃんの彼氏さんが迎えに来てくれて、一緒に晩御飯をごちそうになったんだよ。携帯はサイレントにしてたから気が付かなくて・・・。」
「今までの件もあるから、気を付けておくべきだろ?連絡がないままだと心配することくらいわかるよな?」
俺はイライラしている気持ちを抑えきれそうになく
どんどん彼女を責めてしまった
「家に帰ってきても1人だと寂しいし、ハルさんがお仕事忙しいから邪魔しちゃ悪いと思って連絡はなるべくしないようにしてたんだよ。それでもするべきなの?」
「家におとなしくいるならそれは要らない事くらいわかるだろ?家に居ないし、連絡もつかないってどう感じるかわかるか?俺だけじゃなくて、雅人や優季もるぅに何かあったら心配するだろ?そいうこともきちんと考えて行動するべきだ!子供扱いされたくないというなら尚更だぞ。」
そう言った時、彼女は涙を目にいっぱい貯めて下唇を噛んでいた
「もういいもん!ハルさんなんか知らない!お風呂入って寝ます。おやすみなさい!」
そう言い捨てて彼女は部屋に向かった