第29章 ・・・・・家族
陽斗side
ホテルのプラベートビーチで綺麗な景色を見ていた
眩しいのかるぅは目を細めていた
俺は繋いでいた手に少し力を強めて握り直した
このままの関係でいれば
いつか終わりが来てしまう
そのいつかはいつなのかわからなくて
明日なのか、一ヶ月後なのか、一年後なのか
俺にとっては彼女の存在が大事だと思っている
だから、今日はきちんと話をしようと思った
「大事な話があるんだ。」
「なぁに?」
「いろいろ考えたんだが、今の同居関係を終わりにしたいと思ってる。」
「・・・え?なんで?」
「誤解はしないでほしいが、るぅと住むのが嫌になったとかじゃなくて、この前も話したが、俺にとってるぅは特別な存在なんだ。」
そこまで言って俺は戸惑った
遠回しに言っても気付いてもらえないだろう
だからストレートに伝えたいと思った
「じゃあ、どうすればいいの?」
俺はるぅを真っ直ぐに見つめた
「どこにも行かないでほしい。そう思ってる。だから・・・・・今すぐじゃなくていいけど、俺の家族になってずっと側に居て欲しい。るぅの事、今までよりも大事にするから。」
「家族・・・?」
「あぁ、家族だ。」
「うんと・・・それって・・・?」
「他の誰かじゃなくて、俺の事だけ見ててくれればいい。俺もるぅ以外の女を見る気はないから。」
「じゃあ、ずっとハルさんのそばにいてもいいの?」
「あぁ、そうだよ。もう一度言うぞ。大野瑠李さん。」
「は・・はい。」
「俺の家族になって、ずっと側にいてください。」
「・・はい!」
張り切って答えてくれたるぅを俺は抱き締めた
「は・・・ハルさん?」
「ありがとう。」
俺の素直な気持ちだった
これからはるぅと2人で未来を作っていけばいい
そんな風に考えながらるぅを抱きしめていた
腕の中でるぅが何を考えているかわからなかったけど
俺は安心していた