第26章 欲しいもの・・・・・
陽斗side
だいたいの話を聞き部署に戻った俺は仕事を定時に終わらせた
社長から受け取った資料に鞄にしまい会社を出た
駅に向かう途中佐野が後から声を掛けてきた
「陽斗、サンキュー。明日参加してくれるんだって?」
「・・・・・不本意だが今回だけだ。」
俺の不機嫌な態度を気にしつつも佐野は更に話しかけてくる
「なぁ、お前がさ、飲み会とか参加しないのって何か理由あるのか?」
「仕事とプライベートを分けて付き合いをしたいだけだ。特に飲み会とかになると砂糖に集る蟻のように女が化粧や香水臭くなる。まぁ、雅人のモテっぷりに迷惑をウケた俺のトラウマかもな。」
「あぁ、なるほどな。高校の時からだっけ?」
「あぁ、あいつ目当てに俺に近寄ってくる馬鹿女共がウザかった。」
「そりゃ、あんなに見た目も中身のスペックが高かったら女の子も寄ってくるでしょw」
「・・・・あぁ、そうだな。」
「ところでさぁ~、例の彼女とはどうなってんの?」
「例の彼女ってなんだ?」
「お前の電話に出た可愛い声の子w名前知らないから何て呼んでいいかわからんw」
「どうにもなっていないが?」
「マジで!!??お前口説いてないのかよ!!??もったいないww」
「今のところは何もする気はない。」
「今のところは?」
「今の関係が壊れるのが嫌だからな。」
「へぇ~、珍しいな、お前がそこまで執着するなんて。」
「・・・そうかもな。」
そうして電車に乗り最寄り駅で俺は降りた
佐野はまだ先の駅なので俺はホームから見送った
(あ・・・帰るメールするの忘れてた)
俺は改札に向かいながら電話を掛けた
{もしもし?ハルさん。}
数回のコールででた彼女の声に安心する自分がいた
「あ、もしもし、会社出る時メールするの忘れた。もう最寄り駅に着いた。」
{そうなんだ。お疲れ様。大丈夫だよ。そろそろだと思って、ご飯は出来てるし。お風呂も湧いてるw}
「あぁ、わかった。もうすぐ着くよ。」
駅から徒歩5分という立地条件のマンション
{あ、ほんとだwハルさん見っけw」
そのセリフに目の前に見えた自宅マンションを見上げた
15階のベランダからるぅが手を振っているのが見えた
「あんまり身を乗り出すと落ちるぞ?w」