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妖からの贈り物【おそ松さん】

第7章 ※出会いと別れ



……面倒くさいな。俺はどうすれば良いんだ?
なんなら抱えて親の所まで連れて行くか…いや、暴れそうで嫌だな。

俺は考えた末にあることを思い付いた。着いて来てくれるかは分からないが、やってみるしかない。


「分かった。じゃあ、これならどう…?」


ボフンっ……

一松の身体を白い煙が覆った。その煙の中から、真っ黒の猫が現れる。
廉は猫の姿をした一松を見て、目を輝かせた。


『猫だ!!』

「これなら、着いて行っても良いんじゃない?だって…猫だし?」

『…うーん』


廉は渋そうな顔をして唸った。
やっぱりこんなんで着いて来る訳無いよなぁ…


『…うん、連れて行って!!』

「……え?」


驚いて廉を見ると、ニコニコと笑っている。
警戒心があるんだか無いんだか…

とそこへ、先程まで一緒に居た猫達がやって来た。
話を聞くと叫び声が気になって来たらしい。


「丁度良かった。この子迷子みたいなんだ」


猫達に事情を説明すると、協力してくれるとの事だった。猫達は散り散りになって木々の間を抜けて行った。


「じゃあ、俺達も行こう」

『うん!』


俺が先頭を歩きその後ろを廉が歩く。
此処は俺達の縄張りのため、今何処に居るかなど目印を見れば大体分かる。例えばあの大きな木とか。
目印を頼りに歩いて行くと、俺達は道路に出ることが出来た。


「…廉大丈夫?」

『うん…葉っぱが服に…』


廉は鬱陶しそうに服にくっついていた葉を払い除けた。
すると一匹の茶トラの猫がやって来た。


「にゃぁ~ん」

「!そうか、ありがとう」


どうやら廉の親らしき人が見つかったようだ。
廉にその事を伝えて、俺達はその猫の後を追いかけた。


「廉ー!!」

『お母さん!!』


前方で女の人が廉の名を大声で呼んでいた。廉もそれに気付き、その女の人の方に駆けて行った。
女の人も廉に気付き、駆け寄って抱き締めていた。

……良かった…無事に親と会えて。俺はもう居なくても良いかな……
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