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妖からの贈り物【おそ松さん】

第6章 妖界へようこそ!!



『あ……』

「「あちゃー」」


完全にのびてしまったカラ松にその声は聞こえる筈もなく、下の階で衝撃音を聞き付けた駒の怒りの声が聞こえてきたのは言うまでもない…

私達はカラ松を部屋に移動し寝かせた。その時にトド松に耳打ちされ、着物の事をすっかり忘れていた事に気付く。


「よしっ…廉ちゃん、隣の部屋で手当ての続きをしましょう?」

『!!あ、あとは自分で手当てできるので大丈夫です!』

「そう?」


真火は目をぱちくりとさせた後、納得してくれると私に薬を分けてくれた。一度解いた帯を真火に着付けてもらい、一階に下りるとフワリと美味しそうな香りがした。


「店を壊す気かお前らは!」

「ゴメンね?」
『すみません…』

「まぁまぁ、兄さん廉ちゃん達はお客さんなんだし良いじゃない。あっ、そう言えば自己紹介してなかったわ!!私は真火で此方は兄の駒よ」


真火は朱色のふさふさとした尾を揺らして言った。兄の駒は一瞬目が合うと直ぐに反らして調理に戻る。


「廉ちゃん……ちょっと良い?」


横にいたトド松に話し掛けられる。


「思い出すのも辛いと思うんだけどね……その…彼処で何があったのか教えて欲しいんだ」

『……わかった』


私は少し躊躇して頷いた。
真火の計らいでお店の端の席を借り、トド松に鬼達との事と突如現れた黒い妖について話した。
話していく中、目の前に迫る鬼を思い出しじわりと涙が滲んだ。


「……うん、話してくれてありがとう廉ちゃん」


話終えるとトド松のひんやりと手に頭を撫でられる。それが何故か心地好くて、じっと動かずにいると机に二つのきつねうどんが置かれた。


「えっと……これは?」

「サービスじゃねぇぞ。俺が手を貸してやった分を店の利益として返して貰うだけだ」


駒はそう言って鼻をならした。私はトド松と顔を見合せ小さく笑みを溢すと、箸を取り運ばれてきたうどんを啜る。


『っ美味しい!!』

「ふんっ、当たり前だ!!」


出汁の利いたつゆに、ツルツルしていてコシのある麺。油揚げもフワッとしつつ、噛むと染み込んだ汁が溢れ出てくる。温泉卵に麺を絡めると尚美味しい…
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