第6章 妖界へようこそ!!
きつねうどんを堪能していると上からドタドタと足音がし、その足音は階段を下り、店内へと続いた。
「フッ…この烏天狗であるオレを夢の世界へと誘うとは流石だな。やはりオレ達は運命と言う名の…」
「いや、イタ過ぎるわ!!」
『あはは……なんだ、元気じゃん』
「オレはいつでも……おっ、美味しそうな物食べてるなぁ。駒、オレのは…」
「……ちゃんと金払えよ!」
「サンキュー!!」
カラ松はバチンとウインクを飛ばし、飛ばした先にいた駒は毛を逆立て厨房へと一直線で向かった。
「じゃあオレは廉の隣に座ろう…ん?また泣いたのか?」
『泣いたって程でも無いけど……』
「可愛い顔がもったいないぞ」
不意に顔の横に手を添えられ、瞼に柔らかいモノが触れる。その感触が唇だと気付くのは、そう長くはかからなかった。
私は驚いて吹き出しそうになったうどんをなんとか咀嚼して飲み込んだ。
『……っ何、急に!!?』
「元気出たか?」
『馬鹿!!!』
私の反応を見て楽しむカラ松を自分から離すように押した。更にグイグイと来るカラ松に困っていると、その背後の影が何かを持って構えた。
バチン!!
「家はそういう店じゃねぇ!!」
ナイスです駒さん!
駒のハリセンの一撃が見事カラ松の頭にヒットした…
その後、会計を済ませた私達は店の外に出た。店の外はもう夜だ。
「また来るぜ!!」
「二度と来るな!!!」
「もう~兄さん!!…トッティ、廉ちゃんまた来てね!」
「うん!」
トド松はにこやかに返した。それに対して私は言葉に詰まった。此処は妖が住む世界で私は人間…
答えない私を不思議に思ったのか真火に名を呼ばれ、ついまた来ますと答えてしまった。
真火はそれに納得していない様子だったが、トド松に手を引かれ店を離れた。
「また僕が連れてきてあげるよ!」
「今度はオレがエスコートしよう」
「普通にデートって言いなよ」
またトド松とカラ松の掛け合いが始まる。その二人の間にいた私は一人悩んでいた。
このままこの妖達と関わり続けて良いのだろうか…昨日今日と狙いは私では無くこのカラ松達妖6人。
今日は危うく死にかけた……悪い妖ではなさそうだが、どうしても疑念が残る。
私はこのモヤつきをどうしたら良いのだろう……