第6章 妖界へようこそ!!
「廉ちゃん!!」
「廉!!」
襖の向こうから現れたのは、トド松とカラ松だった。二人を視た途端、足の力が抜け膝から崩れ落ちる。膝が床に着く直前トド松によって抱きすくめられた。
……あれ、何で私今ほっとしたんだろう。相手は妖なのに…
「廉ちゃんゴメン!!僕が目を離したばっかりに、こんなっ…怖い思いをさせてっ!!」
トド松の抱く力が強くなる。私は痛みで小さく声を洩らした。
「!!何処か痛いの!?」
『…別に、なんでもない』
「何でもなくないでしょ!!!っゴメン!!本当にごめん!!」
トド松はボロボロと涙を流して言った。
私もトド松につられてか、恐怖から解放されたためか一度途切れた涙がまた溢れだしてきた。
「すまない!!オレも近くに居ながら!!!」
あまりの声の大きさにカラ松の方を視ると、カラ松もボロ泣きしていた。カラ松は泣きながら、トド松と私を強く抱き締める。
当然力強く抱き締められると痛いわけで…
『っ!!痛い゛わ、馬鹿!!!』
「す、すまない!!」
カラ松は口では謝ったが、力を弱めただけで抱き締められた状態は変わらなかった。
「いや、離せよ!!」
「無理だ」
「『はあぁ?』」
中々離してもらえない腕から、なんとか離れようともがく。トド松も私に気遣いつつ腕の中から脱しようともがいた。
カラ松の腕の中でもがく中、ふと襖の向こうに佇む妖が居ることに気付いた。
その妖と目が合うと、妖は大きな溜め息を吐いて面倒くさそうに言った。
「いつまでやってんだ!!外の騒ぎを聞き付けて、そろそろ見廻りが来るぞ!アイツらに見つかると面倒になる」
「っそうだな。廉立てるか?」
『うん』
私はカラ松に手を借りて立ち上がった。立ち上がった瞬間、身体がフワリと浮いた。
目の前にはカラ松の顔があり、またこれかと息を吐く。
「さぁ、オレと…」
『そういうの良いんで……』
「あー!!またカラ松兄さんに先を越されたー!!」
「いいから、行くぞ!!!」
もう一人の妖に渇を入れられ、私達はその場を後にした。