第6章 妖界へようこそ!!
~トド松side~
「廉ちゃーん!!」
何処に行ったの廉ちゃん…さっきまで手を繋いでいたのに!!あー!!何で離しちゃったんだよ、僕のバカ!!!
トド松は不甲斐ない自分を責めた。あの時手を離さなければ…この市場に来なければ…デートを申し込まなければ…こんな事にはならなかったのにと。
「トド松!」
「カラ松兄さん!!見つかったの!?」
上空から降りてくるカラ松の声に希望を抱くが、それは呆気なく崩れ去る。
「ダメだ…辺りを探したんだが、見つからなかった…もう近くにはいないのかもしれない」
「そんな…」
僕が廉ちゃんを元気づけたいって思ったから…?僕が廉ちゃんに好きって伝えちゃったから…?フラグが見事に回収されたっての?そんなの……
「ふざけるな!!!」
「!!トド松!?」
フラグがなんだよ!!そんなの僕がへし折ってやる!
「カラ松兄さんもう一回探してきて!!」
「ウェイト、ウェイト!!そんな闇雲に探しても意味が……」
「廉ちゃんが殺されちゃっても良いの?!」
此処で言い合いをしても意味が無い事は分かっている筈なのに、どうしようもない自分の気持ちをカラ松にぶつけてしまう。
そんなムシャクシャしているトド松の視界の端に、キラリと光る物が目に留まる。
「これ……僕が廉ちゃんにプレゼントしたやつ」
手の中で咲く小さな花に胸の奥が強く締め付けられる。
僕が必ず廉ちゃんを見つけ出すんだ!!
そう胸に誓うトド松にアクセサリーショップの店主が話し掛ける。
「トッティこういう時は鼻が利く奴に頼った方が良いわね。それ彼女さんにあげたやつでしょう?」
「…!!そうか、それなら探せるかも!!」
廉ちゃんがこれを身に付けていた時間は短いけど、匂いは微かにする筈……
「だが、鼻の利くおそ松と一松は此処にはいないぞ?」
「其だったら、うどん屋に行けば良いわ。彼処の双子は特に鼻が利く」
「!そうだね!!よし、カラ松兄さん!!」
「オレに任せておけ!」
「トッティ…あの子貴方の大切な子なんでしょう?絶対見つけるのよ!」
「うん!!」
トド松は店主に力強く頷き返し、お礼を言うとカラ松の背に乗り空高くへと飛んで行った。