第6章 妖界へようこそ!!
歩き続けるトド松にそっと視線を向けると、何故か小さく笑みを溢していた。
トド松は廉の視線に気付くと振り返ってこう言った。
「ごめん、可愛いくてつい」
『んな!?』
可愛いくてって誰が?!私が!?そんな訳ない!
また冗談を言って、私をからかっているんだ。
取り敢えず、話を反らして…
『……次は何処に行くの?』
まだ笑っているトド松に聞いてみる。
「廉ちゃんにこの国は他の国と交流が盛んって教えたでしょ?」
『うん』
「その他の国の物を売っている市場があってね。そこに行こうかなって思ってるんだー」
更に聞いてみると、その市場には出店が多く出ているらしい。中には私が暮らしている、人の世界の物も売っているそうだ。
妖は珍しい物や新しい物にとても興味を抱く傾向があり、先程訪れた茶屋のパンケーキもその一つだと聞いた。
しかし全員が全員新しい物好きという訳ではなく、古きを重んじる妖もいるそうだ。
『へぇー、そうなんだー』
「だからこの妖界に住む妖も居れば、人の世界の方が刺激があって良いって事であっちに住む妖もいるんだよ」
あー…それで妖界があるのにも関わらず、人の世界にも妖がいるのか。
そんな雑談をトド松としながら、茶屋から暫く歩いた所で、段々と賑やかな声が聞こえてきた。
目の前の角を曲がるとそこには沢山の出店と妖で賑わっていた。
木造建築が連なる城下町に、まるで異国の様なカラフルな出店がある。そんな不思議な景色に廉は目を輝かせた。
『おー!!』
「廉ちゃんはしゃぎ過ぎ!」
それから私達は、団子や大判焼き等のお店に寄ったりと色々なお店を見て回った。
出店の中には妖界の名前や見た目が怪しい果物や魚等を売っている店や洋服を売っている店等があった。
トド松に手を引かれ歩いている途中、急にトド松がある店の前で足を止めた。つられて私も足を止める。
トド松の視線の先を辿ると、そこにはオリエンタルなアクセサリーショップがあった。
「廉ちゃん、ちょっと寄って行こう!」
『私そういうのにあまり興味が…』
「いいから、いいから!!」
半ば強制で店の前へ連れていかれる。店の中を覗くと呑気にうたた寝をしている妖がいた。