第6章 妖界へようこそ!!
『おー!美味しそう!!』
「でしょ?これ頼んじゃう?」
『んー、でも私はこの抹茶の方が良いかな』
「オッケー!飲み物はどうする?」
飲み物も迷うこと無く決まり、トド松が店員を呼んだ。店員は直ぐに来た。
「ご注文は御決まりで……ってトッティ!また来てくれたんだね!!」
注文を受けに来た店員はトド松と知り合いのようだった。
「フフっ…此処のぱんけーきが美味しくて、また来ちゃった!」
「お店の自慢だからね!あら?そちらの方は?」
「この子は…僕の彼女だよ!」
突然の"彼女"と言うワードに私は驚いた。トド松の方を見ると、ウインクを返される。
これは…話を合わせろと言う事だろうか。
『あはは、そうなんですー』
「へぇ~、トッティやるじゃない!あ、いけない!ご注文を聞きに来たんだった」
店員さんは注文を聞いていくと厨房の方に向かって行った。それを見届けた後周りの客に聞こえないよう、トド松にコソッと話し掛ける。
『ちょっと彼女ってどういう事?』
「その方が自然でしょ?」
『自然を装うんだったら、友達とか兄妹とか他にもあるでしょ』
「それは嫌だ」
"何で"と言い返そうとしたその時、トド松に優しい笑みを向けられた。
私は笑顔の意味が分からず一瞬固まった。
「だって僕、廉ちゃんのこと好きだから」
『え……』
えーと、ちょっと待って!今何て言った??
いやいやいや、違う。相手は妖なんだよ?動揺することないじゃん!!そう相手は妖…妖…ただからかってるだけ…
「……本心だよ?ねぇ、廉ちゃんは僕のことどう思ってる?」
『どうって……』
「御待たせしましたー……あー…ご迷惑なさい。今来たら不味かったかしら……」
「ううん、大丈夫だよ!ありがとー!わぁ、見て美味しそうだよ!!」
運ばれてきたパンケーキに目を輝かせるトド松。
店員さんは頼んだ物を置いていくと、そそくさと立ち去ってしまった。