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妖からの贈り物【おそ松さん】

第6章 妖界へようこそ!!



「取り敢えず、少し歩こうか。何時までも此処にいる訳には行かないからな」

「おい、後ろがつまってるからさっさ退け」


後ろからドスの聞いた低い声が聞こえてきた。振り返ると、顔の厳つい頭に角の生えた妖だった。


「『ひっ……!!』」

「これはすまない、直ぐに退こう」


カラ松に背中を押されてその場を離れる。
さっきまで居たところを見ると、あの妖はもう既に居らず、また別の妖が出てきていた。


「は~、あの鬼怖すぎ。もうちょっと愛想良くできないのかなぁ」

「ははっ、オレ達が道を塞いでいた事にも非があるからな。そうだ、廉。 オレ達が通って来た所に黒の外灯があるだろ?」


カラ松が私達が出て来た所の両端にある外灯を指差す。


「あれは廉達のいる世界とこの妖界を繋いでいる物なんだ」

「妖界から別の世界に行く時、自分の行きたい場所を想像してあの間を通ると、その想像した所に行けるんだよ」


へぇー、そんな便利な物があるんだ。


「だが一つ問題があってな。あの外灯の火は気紛れでな、たまに違う場所に通されてしまうんだ」

「そうそれ!本当困るよねぇ」


トド松は呆れ顔で笑った。つられてカラ松も笑い、何がそんなに面白いのかと見ているとカラ松とバチりと目が合った。


「廉の着物もちゃんと効いているようだし、オレはそろそろ別行動を取る」


忘れてた。この着物、幻術がかけてあるんだった……

と思い出していると突然カラ松に右手を引き寄せられた。手にカラ松の唇が軽く触れる。


『!!!』

「オレは廉のナイトだ。何かあったら呼んでくれお姫様。直ぐに駆けつけよう」


カラ松は静かに微笑み、妖達の波の中に消えていった。


「いや、イッタいな!!何最後の台詞!?」


ひぇー…と引きながら懐から手拭いを取り出し、カラ松の唇が触れた手を拭いた。気が済むとトド松はにこやかに笑う。


「フフっ…やっと二人になったね!僕良い所知ってるんだ!連れていってあげる!」

『おぉ、うん』


圧が凄いなー…

トド松はキラキラと目を輝かせ、そのまま廉の手を握り妖達の波へと入って行った。

この時背後で不適な笑みを浮かべている妖がいた事に、廉達が気付く事は無かった。
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