第6章 妖界へようこそ!!
「カラ松兄さん早く!日が暮れちゃうよ!」
「そうだな、オレ達は時間という止まることの無い流れに乗って…」
「そういうのはいいから」
「そうか?確りと掴まっているんだぞ!」
バサッと黒い大きな羽を広げ、勢いよく羽ばたいた。
徐々におばぁちゃん家が小さくなって行く。
「どうだ廉?空の旅も悪くないだろう?」
『……そうだね』
と一言返した。風があたって気持ちいいというのもあるが、飛んでいる高さに多少の恐怖がある。
その為、廉は一言しか返せなかった。
「怖いのか?」
『えっ……うん、多少は』
「カラ松兄さん廉ちゃんを怖がらせてどうすんの?!」
「す、すまない!!でも、もう直ぐで着くから少し辛抱してくれ…」
カラ松の背中でトド松が文句を言っていると、カラ松が降下をし始めた。
下を見ると、そこは山の中。しかし、ふと身体に薄い膜に触れる感触がした。これは以前に体験した事のある感触。
全身が通り抜けると風景が変わった。一度来たことのある神社だった。
「着いたぞ、廉具合は大丈夫か?」
「着いたー!廉ちゃん具合は大丈夫?」
『見事にハモったな……まぁ、大丈夫だよ。それで、どうして此処に?』
「この鳥居をくぐれば妖界に行けちゃうんだよ!」
「まぁ、オレ達専用と言った所だな」
トド松が指を指した先は、この神社の黒い大きな鳥居だった。鳥居の奥には階段が下の道へと続き、特に変わった風景では無い。
「行こう!廉ちゃん!」
トド松に手を引かれ、鳥居の下をくぐり抜ける。
不思議な事に、くぐった先は鳥居を抜ける前に見た風景とは違う場所だった。
城下町の様な風景に、道路には線路、普通に行き来する様々な妖達。
これが妖界なのか……
「どうどう?中々良いでしょ?」
『妖が沢山いる……』
「フッ……そりゃそうだろ。なんせ妖が住む世界なんだからな」
『これ本当にバレない?』
今更ながら不安になってきた。何故なら一度にこんなに多くの妖を視たことが無かったからだ。
「たぶん大丈夫だよ!」
『たぶん!!?』
さっきと言ってる事が違うんですが!?