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妖からの贈り物【おそ松さん】

第6章 妖界へようこそ!!



「ダメだよ逃げちゃ、これからデートするんだから」


耳元に先程までとは違った声の低さで囁かれる。息は冷たくヒンヤリとしていた。


『うわっ、トド松離して!!』

「嫌でーす。一緒に行くってくれるまで離しませーん。それに本当は廉ちゃんだって、妖界の事気になってるんじゃないの?」

『っそれは……まぁ、どんな所かは気になるけど』

「はい、じゃあ決まり!!て、ことでカラ松兄さん宜しくね?」


トド松からやっと解放された。しかし黙って聞いていたカラ松が口を開く。


「廉は本当にそれでも良いのか?嫌なら無理して行く所ではないぞ」

『………確かに、積極的に行きたいってわけじゃ無いけど。でも、妖が視える身として少しは妖の事知っておいた方が良いと思うし……』


言葉がどんどん尻すぼみになって行く。妖界の事が気になる気持ちもあれば、そんな危険な場所には行きたくない気持ちもある。

どうすれば良いかと悩んでいると、ふと頭に手が乗せられた。


「……嫌じゃ無いなら良いんだ。トド松はこう見えて強いし、オレも一緒に行く。妖界も悪くない所だ。安心して妖界を楽しむと良い」

「こう見えては余計だなぁー。でもまぁ、一度行っておけば万が一妖界に迷い混んだ時、出る方法が分かるだろうしね!」

『迷い混んだ時って?』

「うーん、その話は向こうに行った後でしよう!」


トド松に背中を押され外に出る。降っていた小雨は既に止んでいた。
しっかり戸締まりをすると、身体が突然宙に浮いた。


「このカラ松が空の旅へとご案内しよう」

『い、いや自分で歩けるし!下ろして!!』


この妖達は何故こんなに抱き上げようとするのだろうか。


「それは無理な願いだな。トド松はすまないがオレの背に乗ってくれないか」

「良いなぁ、僕も廉ちゃんをお姫様抱っこしたい!」

「後ですれば良いだろ?早く乗ってくれないとお姫様が機嫌を損ねてしまう」

『誰がお姫様だ!』


下ろしてと言っても、カラ松は笑うだけで下ろしてはくれなかった。
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