第5章 探し物
「よしっ!探すと決まったらさっさと行こうぜ。廉のばあちゃんのお使いも済んでない事だしな」
『そうだね』
おそ松に頷き返すと、私達は敵が駆けていった方に向かった。
木々の間を抜けた先には小川があり、その近くをあの太刀を背負った背中が屈み込んで探し物をしている姿が見えた。
探すのに夢中なのか此方には、ちっとも気付いていない。
『あ、あの!』
近くまで行き声を掛けると、その背中はビクっと揺れると直ぐ様振り返る。振り向き様に手は太刀の柄を握った。
すると瞬時におそ松が前に出て、私を後ろに庇う。
それを私は少し押し退けて、おそ松に目配せをすると言った。
『探し物…一緒に探します!』
「……はぁ?」
敵は何言ってんだ?とでも言うように、眉間に皺を寄せた。それもそうだろう、なんせ自分が狙っている奴が自分を手伝うと言っているのだから。
「何が目的なのよ?」
『別に、何も……只探すの手伝ってあげようと思っただけです。……ピン、大事な物なんですよね?』
そう言うと、敵はうっ…と小さく唸った。
「探し物するなら、1人より3人の方が手っ取り早いだろ?」
「………誰のせいで無くなったと?」
「そ、それはー……悪かったな。……っだから一緒に探すって言ってんの!」
『……だそうです。無くしたのもこのおそ松が原因ですし、ね?良いですよね?』
「別に襲ったりはしねぇーし……悪くねぇ話だろ?」
「……その保証は?」
『……無いです』
もし断られてしまったならそれまでだ。本人がそう望むのなら大人しく、おばぁちゃんのお使いに戻ろう。
敵は悩んでいるのか少し間が開いた後、閉じていた口を開いた。
「……好きにすれば」
敵は一言告げると、また捜索に戻って行った。
廉はおそ松と顔を見合わせると、フッ…と口の端を持ち上げ同じようにピン探しを始めた━━