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妖からの贈り物【おそ松さん】

第5章 探し物



「ひっどーい。出たーーって、まるでトト子が妖みたいじゃない」


背後に現れたのは、大太刀を背中に携えてはいるが見た目は可愛い女の子。トト子であった。
ぷうっと頬を膨らまし、眉をひそめる。

私は後ろに下がり、距離を取ろうとするが後ろの木が阻んだ。

おそ松何してんだよ……早く降りてこいよ…!!
……上で何かあったのか…?

さっきまではなかった震えが襲う。

………って、何で今になって震えるんだよ。さっき会った時は何とも無かったじゃん。
…はは、あぁ、そうか。さっきはおそ松が居たから…か。

脳裏に先程襲われた時に見た、おそ松の後ろ姿がフワリと過る。


情けない…!!


別にこんなの普段からじゃないか。それに何度もくぐり抜けて来たんだ。
全力で逃げれば逃げ切れる…!!………多分!!
アイツに頼らなくたって……

まだ震える身体を片腕で抱き締め、左腕を強く掴み、前を見据えた。


「……はぁ、そんなに睨まないでよ。別にあんたを取って喰おうなんてしないわよ。
………まぁ、妖とつるんでいるのは気に食わないけどね」


敵の言葉にムッとする。
此方だって一緒に居たくて居ている訳ではない。
狙われているから、仕方なく…だ。

…違う。そこじゃない。
"あんたを取って喰おうなんてしない"
私狙いではないのか…?いやいや、でも"依頼"とか言ってたし。


「…あ、そうだ。1つ聞きたい事がー」
「近寄るな」


敵が一歩踏み出した時、突如視界に赤い炎が現れる。
赤い炎は私と敵の間に壁を作った。

すると上から風を切る音と共に、おそ松が黒い羽織をたなびかせて降り立った。
おそ松が降り立つと同時に炎の壁は散り、消える。


『おそ松…!!』


思わず声を上げる。
するとおそ松はクルリと向きを変え、此方に向かってきた。


「大丈夫だったか?!怪我とかは…無さそうだな、うん」


ペタペタと身体を触られる。
何時もなら殴るなりしていただろうが、今回はそうしなかった。
何故なら、おそ松が本気で心配していたからだった。
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