第5章 探し物
『なんだろ……今日はカラスに縁がある日なのかな…』
「そうかもしんねぇな~」
クスクスと2人で肩を震わせた。
廉は笑いを堪えようと、深呼吸をし気持ちを落ち着かせた。
と、そこで大切な事を思い出す。
『アあぁぁぁああ!!!』
「うおぉ!!どうしたんだよ、急に!」
突然大きな声を出したためか、隣にいたおそ松は驚く。
『カラス!!そうだよカラス!!鍵!』
「鍵?鍵ってなん……あ、鍵」
おそ松も思い出したようで、ぽんっと手を打つ。
「なーっはっはっは、スッカリ忘れてたわ~」
『あーもう!何で忘れてたんだー……場所!何処行ったかまだ分かる?!』
「ん?……え~と、確かあっちの方向だったかな?」
そう言って指を指す……いや、わかんねぇよ!
でも、取り敢えずそっちに行けば鍵があると分かった。
『よし、じゃあ行こう』
「あ、おい。お姫様抱っこは良いのか~?」
おそ松はニヤニヤ笑みを浮かべながら言った。
『いいですー』
キッパリと断るとスタスタと、鍵のある方向に歩き始める。
その後ろから、おそ松が追ってくる。
「先に行くなって…このまま行くと結構時間が掛かっちまうぞ?」
『…じゃあ、どうしろと?』
「だ~か~ら~、俺が廉をお姫様抱っこ……」
『それ以外で』
またもやキッパリと断ると、おそ松は小さく溜息を漏らす。
「じゃあ、おんぶは?これなら良いだろ?」
『…変な気を起こさなければ』
「善処シマスー」
おそ松は私が乗りやすい様に前で屈み、手でちょいちょいと、乗れと促す。
その手の動きが気になったが、おばぁちゃんからのお使いを無事成し遂げるため、おそ松にゆっくり体重をかけた。
胸はなるべく当たらない様に。
私が自分に体重を乗っけたのを確認すると、おそ松は立ち上がり体勢を整える。
そして、改めて鍵のある場所へと駆けて行った。