第5章 探し物
「チッ…避けんじゃないわよ!!」
またも一振り。
しかし、それもまた身軽に避ける。
先程まで乗っていた木は見事に斬り倒され、唖然とした。
この人、妖なのか!?
おそ松はヒューと口笛を吹き、口の端を持ち上げた。
「いやぁ~、可愛いね~君。強い女の子も好きよ?俺」
なーっはッはッとおそ松は笑い飛ばす。
随分とお気楽なものだ。相手に大太刀を向けられているというのに…。
「ふーん、狐にもこのトト子の可愛さが分かるのね。まっ、それだけトト子が魅力的ってことね!」
「うんうん、すっげぇー可愛い!」
「でしょー!!?もっと褒めてもいいのよー?」
いやいや、早速打ち解けちゃってますけどー!!?
しかも、さっきと態度が違い過ぎないか?!
「でも……君も可愛いけど」
ちらりと、おそ松は目だけ振り返る。
「やっぱり俺の中の1番は、この子なんだわ。ごめんねー」
『えっ……』
おそ松は私を笑顔で肩を抱き寄せた。
おそ松の行動に驚くが、前からの不穏なオーラに身を固まらせた。
「へぇー……一回トト子の下僕にしてやっても良いかなー?とも思ったけど。やっぱ、やーめた!
……死ね」
最後の言葉を話したと同時に、手にしている大太刀を此方に振るう。
だが、それもまた空を切った。
「おっと……危ないなー。そんな怖い顔したら、可愛い顔が台無しだよー?」
『何また、喧嘩売ってんの!…それ、やめっ!!』
突然クルリと視界が反転し、それが元に戻るとまた攻撃されたのだと理解する。
危ない…もう少しで舌を噛むとこだった。
「あんま、喋んな。舌噛むぞ!」
『それ早く言って!』
うぅ、ちょっと酔ってきた…。
攻撃からの回避で目を回し始めた廉に、気付いたおそ松はそっと廉を地面に下ろした。
おそ松は私の前に出、2人にしか聞こえないような声で話した。