第5章 探し物
『……』
「ちょいちょい、そんなに悩む!?そこは好きって言うとこでしょ!?泣いちゃうよ、俺?」
『どうぞ』
「ひどい!!この子ドライだよ!!トッティと同じドライモンスターだよ!!」
そう言って、おそ松は腕を解き怯えたように自分を抱き締めていた。
いや、ドライモンスターってなんだよ。
まぁ、離して貰えたのは良かった。
私はおそ松を無視し、顔を洗いに行った。
顔を洗っていると、起きていたおばぁちゃんが"今日は、早起きねー。"と驚いていた。
顔を洗いさっぱりした気分で部屋に戻るとおそ松が部屋の真ん中でうつ伏せになって倒れていた。
4本の尻尾もだらんとしていて動く気配がない。
これから着替えたいんだが…
『…おそ松。今から着替えたいんだけど部屋、出ててくれない?』
そう言うと、おそ松の体がピクンと跳ね垂れていた尻尾が立った。
「…俺、こうやってるから着替えて良いよ。
あ、見ないから安心して?」
おそ松はうつ伏せのままの状態で言い、4本の尻尾はゆらゆらと揺れていた。
分かりやすっ…絶対見るだろこれ。
私はおそ松の両足を掴み後ろに引っ張り、部屋から引き摺り出した。
悲鳴が聞こえたような気がしたが気のせいだろう。
「いってーよ!!?何だよ、見ねぇって言ってんじゃん!!」
『いや、信じられないんで』
そうキッパリ言うと、私は部屋の襖を閉めぱっぱと着替え、布団も押入れにしまう。
着替えが終わり、部屋の外に出るとおそ松が引き摺られてそのままの状態で横たわっていた。
おそ松の尻尾も力無く垂れていた。