第5章 探し物
「いいから━━を離せ!!」
「誰が離すか!!」
「兄さん危ない!!!」
「━━!!!」
「……ごめん…ね」
……
『ふぁ』
パッと目を覚ますと、外はもう日が出ていた。
何か悲しい夢を見た気がするが思い出せず、まぁ良いかと放棄した。
今何時かと自分のスマホに手を伸ばし、寝る時との違和感に気付く。
自分の腹を見ると知らない手が巻かれ、その手をたどり後ろを振り向くと…おそ松が寝ていた。
『はぁ?』
今の状況を把握するのに3秒かかった。
私はおそ松の手を振りほどこうと踠くが、逆に強く抱き締められてしまった。
「だーめ。もう少し」
おそ松はそう言って、首元に鼻を擦り寄せた。
ぞわぁぁ…と鳥肌が立ち、私は力の限り踵でおそ松の脛をに蹴りを入れる。
「ぎゃあぁぁああ!!!」
おそ松は私を抱き締めていた手を振りほどき、脛を押さえ転げ回った。
ざまぁみろと思いつつ、スマホを手に取り電源をつけるとまだ6時だと分かる。
二度寝しようかな…いや、起きれなくなるから止めとくか。
そうだ、折角早めに起きたんだし今日は私が朝食を作ろう!
そうと決まれば、何を作ろうか…取り敢えず顔でも洗ってこようかな。
そう思い立ち、立ち上がるとふいに後ろから引っ張られバランスを崩した。
重力に逆らえず体は後ろへと傾くが、背中に何かが当たり倒れるのを防いだ。
しかし、後ろからお腹辺りに手を回されぎゅっと抱き締められる。
見なくても分かる、おそ松だ。
じたばたと抵抗するが、中々離してくれない。
『ちょっ、離してよ!』
尚抵抗するが離してくれず、おそ松は抱き締める力を少し強くし肩に顔を埋めた。
「なぁ、何でそんなに嫌がんの。俺のこと…嫌い?」
『…え』
おそ松の弱々しい声に動きを止める。