第1章 鈴の音
ザザザ…
……あなたは、誰?
………あははっ、今日は何のお話を聞かせてくれるの?
…………お願い…わた、しを…殺してっ…
ザザザ…
━━━……
『……ん………』
ゆっくりと浮上する意識。
うっすらと目を開けると、視界に木目の天井が飛び込んできた。
霧がかった頭が次第に晴れていくと、先程の出来事を思い出し、ガバッと起き上がった。
すると自分に布がかけられているのに気付き、さらに辺りを見回すと、そこは……
「起きたかい?」
聞き覚えのある声が聞こえ、そちらへ振り向く。
『おばぁ…ちゃん?』
「ふふ、そうよ?…廉ちゃん、よっぽど疲れたのね」
おばぁちゃんはクスクスと笑うと、私の頭を優しく撫でた。
「…さて…廉ちゃん、スイカは好きかい?」
そう言うと、おばぁちゃんは私の頭からそっと手を離した。
『え?あ、うん、好きだよ』
「そう!昨日ね、丁度梅さんからもらったのよ!
二人で食べましょ!」
おばぁちゃんは嬉しそうに家の中へ入って行った。
その後ろで私は一人頭を悩ませた。
『あの後…どうなったんだ…?』
確か私は妖と一緒にいた筈。そして急に後ろから、誰かに殴られて…気付いたら此処というわけだ。