第4章 霊力
『あ!洗濯物!!』
忘れていた洗濯物の存在を思い出し、縁側へ取りに戻る。
洗濯物の山を抱え居間に戻れば、クスクス笑うおばぁちゃんと顔を赤く染めるチョロ松が居た。
2人は此方に気付き、視線を上げた。
「あら、噂をすれば!…ふふふ、じゃあ私は本の続きでも読んでこようかねぇ」
おばぁちゃんはちゃぶ台に手をつき立ち上がり、居間から出て行った。
「えええっ!!ちょっと!」
チョロ松はそう叫んだ。
『…何かあった?』
「ええ!?あ、いや、何でも…ないよ」
チョロ松は段々と声が小さくなり、目を泳がせた。
おばぁちゃん…絶対何か言ったな。
『…もしかしておばぁちゃん、変な事言った?』
「いやいや、別に変な事は言ってないというか…言ったというか…ちょっ、ちょっとお手洗い借りるね!!」
チョロ松はそう言うと、走って居間から出て行った。
あの動揺っぷり、おばぁちゃんは一体何を吹き込んだんだろうか。
私は気になりつつも、この後の買い物のことも考え、洗濯物を畳み始めた。
暫くすれば、元の顔色に戻ったチョロ松が帰って来た。
ストンと腰を下ろし、口を開く。
「…あのさ、"大事な話"って覚えてる?
今、僕ら2人だけだから話したいんだけど良いかな…?」
口調は落ち着きを取り戻し、先程までの動揺は消えていた。
『…あ、うん。良いよ』
すっかり忘れていた。
「…単刀直入に言う。廉、君は悪い…奴等から狙われているんだ。だから、それを阻止するため僕達が君を守る」
・・・・
『……えーと、何かの漫画の話?』
そう言うと、チョロ松はため息を吐いた。
「…うん、確かに信じて貰えるような話ではないね。でも、これは本当なんだ。……奴らは君の
"霊力"
を狙っている」