第4章 霊力
私はチョロ松が言っていた"大事な話"とやらが気になりつつも、食べ終わった食器を台所へと運んだ。
食器はおばぁちゃんが洗ってくれると言うので、私は歯磨きをしに洗面所に向かう。
シャカシャカとリズム良く歯を磨いていると前の鏡に、立って読書をするチョロ松が映る。
『んぐ!!?』
驚いて後ろを振り向けば、視線に気付いたチョロ松が本から顔を上げ、どうぞお気に為さらずといった表情を浮かべた。
…今日1日中は、こんな感じなのか…
前に向き直り、口を濯ぐ。
かごの中にある洗濯物を洗濯機に放り込み、ポチポチとボタンを押し、洗剤を入れて洗濯機を回す。
そして、おばぁちゃんの元に向かった。
『おばぁちゃーん。今日何すれば良い?洗濯と掃除はやっとくけど、他にある?』
「んー、そうだねぇ……買い物でも頼もうかしら?」
少し考えた後、おばぁちゃんはそう答えた。
『ん、オーケー。午前中に行った方が良い?』
「んいや、午後で大丈夫だよ」
『わかったー』
そう返事を返すと、せっせと部屋の掃除を開始する。
まずは2階の部屋から始め、次に1階を行った。
その間も後ろを振り向けば、チョロ松が立っていた。しかし、特に邪魔をしてくるという訳ではなく只立って見ているだけで、たまーに"此処、埃があるよ"と指を指される程度だった。
掃除が終わると今度は洗濯物を干しに掛かる。
今日も暑いし、洗濯物も速く乾くことだろう。
『終わったー』
居間に倒れこむ。
時計をふと見れば、もう昼前だ。
あ…そう言えばチョロ松は…
ばっ…と起き上がると、いつの間にかチョロ松がちゃぶ台の前に座っていた。
「お疲れ様。暑い中大変だったねー。
……で早速なんだけど、今話しても大丈夫かな?」
『あ、うん。大丈夫です』
廉はちゃぶ台を挟んだ、チョロ松の前の位置に座り直す。緊張からか、自然と姿勢と整った。
「悪いね。…それで、朝言った大事な話の事n…」
ピンポーン
都合悪く、家のインターホンが鳴った。
『はーい』
玄関の向こうの人にも聞こえるように、大きな声で応える。
ちらっと視線をチョロ松に戻すと、"速く行ってきなよ"と言われ廉は少し駆け足で玄関に向かった。