第4章 霊力
「廉ちゃんどうしたの?食べないの?」
おばぁちゃんが箸を止めていた私に心配そうに言った。
私は慌てて首を横に振る。
『いや、何でもないよ!はははは…』
そう誤魔化すと、おばぁちゃんは"そう?"と言って食べ終えた食器を片付け始めた。
廉はほっと胸を下ろすと、また食事を再開する。
おばぁちゃんは食器を下げに立ち上がり、台所へと向かった。それと入れ違いに、今度はチョロ松が居間に入ってきた。
チョロ松は何事も無かったかのように、さっき座った所と同じ場所に座った。
そしてどっかから持ってきた本を読み始める。
…え?読書?
さっきの叫び声は?
頭の中に幾つもの疑問符が浮かび上がる。
私は、今頭の中を占めているこの疑問を口に出してみることにした。
『…あー、チョロ松さん?さっきの叫び声って何ですか?』
「え?……別に気にする事でもないよ。
それに何で敬語?…ま、良いけどさ」
チョロ松は本から顔を上げ、口をへの字にしながら言った。
『そ、そうっすか』
おおぅ…ちょっと気になるけど、気にする事でもないって事は、何か大変な事が起こった…とかでは無いって事だよね?
なら、安心だ…おばぁちゃんを危険に晒したくは無いし。
あ、でも昨日の十四松の事もあるし…警戒は怠らないようにしないと。うん。
ふぅ…と一息をすると、残りの味噌汁を腹へと収める。
今日も手伝いを頑張るぞー!と気合いを入れ、立ち上がるとチョロ松が更に言葉を続けた。
「あー、そうそう。後で大事な話があるから。
でも色々手伝いで忙しいと思うし、暇が出来た時にでも話すよ」
『はあ…、話ですか…』
何なんだ…話って…
しかも大事な…話。
私に関係する事なんだろうか…