第4章 霊力
ピピ、ピピ、ピピ、ピ……
『……んー…もうちょい』
手を布団から出し、スマホのアラームを切る。
窓からは日が射し込み、また朝がやって来た事を知らせる。
私は仰向けに寝返りをし、ぼーと天井を見つめた。
数回瞬きをすると体を起こし、何時ものように布団を畳み、服を着替え、顔を洗いに行く。
そして、いつものように居間に顔を出す。
「…!あら廉ちゃん、おはよう!」
『…おはよー』
ちゃぶ台の前に座り、読書をしていたおばぁちゃんが本から顔を上げた。
私はおばぁちゃんに挨拶を返すと、辺りに視線を巡らした。
…今日は来てないのか。ま、別に来なくても良いんだけどねー
『あ、おばぁちゃん。私も手伝うよ』
読んでいた本を置き腰を上げる祖母にそう言うと、2人で台所に行き朝ごはんを居間に運ぶ。
今日の朝食はTKG(卵かけご飯)と味噌汁と漬け物だ。
『いただきまーす』
「いただきます」
2人で手を合わせ、朝食を食べ始める。
私は味噌汁が入ったお椀を口元に運び、コクコクと喉を鳴らした。
すると突然、おばぁちゃんの後ろにある襖が開き、チョロ松が現れた。
「……ん。廉起きてたんだ。おはよう」
危うく口の中の物を吹き出しそうになったが、なんとか耐え凌ぐ。
…結局居るんかい!!
心の中でそう突っ込む。
突然現れた奴は当然のように、ちゃぶ台の前に座った。おばぁちゃんはそんな事にも気付かずに食べ続けている。
そーっと視線を横にずらすと、見事に目があった。
視線を元に戻し、また食べるのを再開するが何やら横から視線を感じる。
……食べずらっ!
また横に目を向けると、またもや目があった。
眼鏡の奥に光る小さな緑目が私を捕らえ、全く動かない。
今度は視線を戻さずにいると、その妖はスッ…と立ち上がり、入ってきた襖から出ていった。
何だか良くわからずにいると、突然叫び声
がどっかから聞こえてきた。
「ア"ア"ア"ァァア"!!!」
…えーー、怖っ!何事!?
廉は突然の叫び声に怯えた。