第3章 心が揺れる時
~十四松said~
今日は僕が廉ちゃんを守る日。
兄さん達とトッティは今日も調査に行っている。
奴等の手掛かりは少しずつ掴んで来てるけど、肝心の本拠地はまだ分からない。
だから、早く見つけて平和を取り戻さないとね。
廉ちゃん達のためにも…
十四松はそっと廉の頭を撫でる。
撫でられている本人はというと、すやすやと寝息を立てて夢の中にいる。
…なんだろう、この状況ヤバいかも。
廉ちゃん無防備過ぎるよ~…まぁ、寝てるから仕方ないんだけどさ~。
もしこの場におそ松兄さんが居たら、食べられてたね…絶対。
十四松は顔の熱が中々引かず、ちょっと外に行こうと片膝を立てると廉ちゃんの長い睫毛が微かに揺れたのに気付く。
そのままゆっくりと瞼が持ち上がるが、まだ頭が覚醒していないのか、ぼーっと天井の一点を見つめていた。
「廉ちゃん、おはよー!」
十四松は廉の顔を覗き込むようにして挨拶をするが、数回瞬きをしただけで特に反応もなかった。
そのままじー…と見つめていると、急に廉ちゃんの目が見開かれた。
やっと頭も起きたかと思いきや、突然廉ちゃんは上体を起こし、見事に額同士がぶつかる。
「ボウエッ!!」
鈍い音と共に、額に痛みが走る。
『~~~~っ!!!』
それは廉ちゃんも同じだったようで、言葉にならない声で悶絶していた。
「廉ちゃん大丈夫~?」
『……大丈夫じゃない…!!』
額を押さえ、涙目で上目遣いになる廉ちゃんは刺激的で少し収まっていた顔の熱もまた回復してしまった。
それを見た廉ちゃんは突然僕から距離を取り、言った。
『夜這いか…!!?』
「ちがーーう!!」
全力で否定するが、廉ちゃんは信用してくれず、それから廉ちゃんから変な誤解を解くのは一苦労だった。