第2章 どうぞお好きな松を
「はい、廉ちゃんもドーゾ?」
いつの間にか隣にはトド松が座っていた。
トド松の手には、瓶に入ったオレンジジュース。
『いや、私は……』
「ダイジョウブ、ダイジョウブ!!変な物は入ってないからさ!」
『自分で言うんかい』
試しにトド松が飲み、何も入ってないよと見せる。
私も恐る恐る飲んでみるが、言葉通りただのオレンジジュースだった。
「ほらほら、廉も遠慮せずに食べろよ!!」
『私はおばぁちゃんが作ってくれた昼御飯があるから』
「へぇ、これ廉のばーちゃんの手作りなんだぁ!うめぇな!!」
『あっ!!それ私のお昼!!』
おそ松の手には、おばぁちゃんがお昼にと持たせてくれた弁当があった。弁当の中身は綺麗に無くなっていた。
『ちょっと何勝手に食べてんの!!?』
「美味しそうな匂いがするなぁって思ってさ~!まぁ、良いじゃん良いじゃん!目の前にご馳走があるわけだし?」
『…そう言う問題じゃない!!』
「ウェイトだ廉!折角のパーティーだ!!喧嘩は良くないと思うぞ!!」
『煩い』
「ひっ……」
「ププー、カラ松兄さんに飛び火してるー」
トド松がクスクスと笑った。
私の怒りはまだ収まりそうにない。
「おそ松兄さん宴なんだから、廉に早くって……鼻ほじってる場合かぁ!?」
「えー?弁当食った位で怒るかぁ?ふつー」
『弁当を食った位?!あー!!もうだから妖は嫌だ!!帰る!!』
やっぱり妖は自分勝手な奴ばっかりだ。
「えぇ!!もう帰っちゃうんすか?もうちょっと一緒にいようよー?」
『うわっ!急に首を伸ばすな!!』
さっきまでバクバクとご馳走を食べていた十四松が、私に伸ばした首を巻き付けた。
巻き付かれたまま首が縮み、今度は十四松と一松の間に座らされた。
「廉ちゃん、何食べたいー?」
『だから私は!!』
「んじゃあ、これとこれとこれ食べてみてー?美味しいよ!!」
「はい、アーン……」
一松に皿の料理を口に入れられた。
『んぐ……!!お、美味しい』
「でしょ!!これは妖界(ようかい)の料理なんだよー?」
妖界?人間が食べて大丈夫なのかそれ?