第2章 どうぞお好きな松を
「ついでに猫はいかがですか?」
隣にいた一松がいつの間にか黒猫へと変化していた。
猫は……嫌いではない。
頭をそっと撫でるとゴロゴロと喉を鳴らした。
そう言えば猫又っていう妖だって言っていたな。
「あー!!一松兄さん狡い!!廉ちゃん僕も撫でて!!」
『冷たっ!!引っ付くな!!』
「え!プロレスごっこっすか!じゃあ僕も!!」
私に引っ付いていたトド松と一松もろとも、十四松の首でぐるぐる巻きにされる。
『苦しいっ……』
「……っ十四松兄さん、カラ松兄さんもプロレスごっこやりたいって!」
「えっ!」
「そうなの!?よいしょー!!」
「アーーー!!!」
トド松の一言で十四松がカラ松へと標的を変えた。
カラ松は何とか固めをされ、悲鳴を上げる。
「助かった~って、一松兄さん!!………死んで、る…血文字で何か書いてるよ」
「何て書いてあるんだ?」
「"おっぱい"って書いてる……」
「幸せそうな死に顔だ……」
人の姿に戻っていた一松は鼻から血を流し横たわっていた。側でトド松とチョロ松が手を合わせている。
「いーなぁー、いちまっちゃん!ラッキースケベじゃん!!ねぇねぇ、廉ちゃん俺にはしてくれないのー?」
『はぁ?何でそんな事、あんたにしなきゃいけないの』
「そう固いこと言わずにさ~、これから暫く一緒にいる訳だし?親交を深めるために良いでしょ?」
そう言ってすり寄ってくるおそ松に、ふと違和感を覚える。
『これから暫くって……?』
「そりゃあ、そのままの意味だよ。だからこれから宜しくね?廉ちゃん?」
ニコリと微笑むおそ松に、私は嫌な予感がした…