第2章 どうぞお好きな松を
「ちょっとお前ら締めすぎ!廉が苦しそうだろ!?」
すると、締め付けられていた体が解放され、新鮮な空気が取り込まれる。
死ぬかと思った…
「ごめん、廉ちゃんに会えるのが嬉しくて…!!」
「…ごめんなさい」
抱き締めて来た黄色の着物の妖と白い着物の妖の2人が素直に謝る。
「俺も廉ちゃんに会いたかった~!!
だから俺もぎゅーって…」
「おそ松、お前は駄目だ」
「はー?!何でだよ!」
「「お前が危険だからだ」」
「んな!?2人揃って言うこと無いだろー!
お兄ちゃん泣いちゃう!!」
赤い妖は泣く真似をするように目元を隠した。
だがそれはスルーされる。
仲が良いのか悪いのか…
その様子を見ていると、はいこれ…と一松が落ちた麦わら帽子を拾ってくれた。
『あ…ありがと』
「!!……別に…」
一松は驚いたように目を見開くが、元に戻ると下を向いてしまった。
それをニコニコしながら見ていた黄色の着物を着た妖が、はいはーいと手を上げた。
「ちょっと質問良いっすか?
廉ちゃんを連れてきたのは良いけど、この後どうすんの?」
「ん?…あー考えて無かったな…」
えー…ノープランだったのか…
なら…帰りたいんだけど。
だが、その思いも儚く散った。
「あっそうだ、自己紹介でもする?」
「自己紹介?……あー、そっか。
トド松良い事言うじゃん!んじゃ、皆集合ー!」
その掛け声に妖達が一列に並ぶ。
「じゃあ、まずは俺からね。
俺は天狐のおそ松!一応この中では長男やってまーす!」
一応…?
「オレは烏天狗のカラ松!空を飛びたくなったらオレを呼んでくれ。エスコートしよう」
……
「なにそれ……僕は…百々目鬼のチョ、チョロ松です。
よろしく」
顔が赤い…
「……猫又の一松」
うん
「僕ねー、十四松!ろくろ首だよ!
首が伸びるんだー!!」
元気
「最後は僕だね!
僕は雪女のトド松!雪女でも男だからね!」
…え?
「いくぞ!せーのっ」
「「「「どうぞ、お好きな松を!!」」」」