第1章 鈴の音
━━……
ブロロロ……
『やっと着いた…』
"あかつか村"
少し錆びぎみのバス停の看板。
私は持っていたスマホを、ズボンのポケットに突っこんだ。
『あっついな…』
空高くで輝く太陽が、肌をチリチリと焼き付ける。
空は綺麗な青色で、山の向こうには積乱雲が見えた。
私は、荷物が詰まった重いキャリーケースを引きながら、祖母の家へと向かった。
道の途中、道路の片側が林になっている所に差し掛かる。
木の影が、丁度日陰になっていたのでそこを歩く。
ガサッ
『っ!!!』
突然、茂みが音を立てた。驚きのあまり、肩をビクつかせる。
足を止め、音が出た方向を見た。
するとガサッと茂みが揺れ、しかも何かがこっちに向かって来た。
嘘だろ~~!!!
何でこっちに来るんだよ!!
せめて、猫か何かの可愛い動物であってくれ!
ガサッ!!
『……っ!!!』
茂みの中から現れたのは、紫色の着物を来た人。
いや、人ではないのかもしれない。
何故なら、頭にはピンと立った猫耳があり、お尻には2本の尻尾が揺れていた。
たぶん"妖"だ━━━