第7章 ※出会いと別れ
すると、家の中から祖母らしき人が出て来て廉を見つけた。廉の祖母は辺りを見渡して、ふと俺達の方を見た。
一瞬目が合ったような気がしたが、直ぐに目を反らした。
気のせいか……
俺達は廉が祖母に抱っこされ家の中に入っていくのを見送ってその場を後にした。
━━……
話終えた一松が一息を吐く。
「…っはぁ、終わり。もう一生分喋った」
『普段どんだけ喋らないんだよ……って違う!ちょっと待って、それ本当の話?』
一松の話の衝撃で私は思わず飛び起きる。それに対して一松は先程とは違う、呆れた様子で息を吐いた。
「本当…ねぇ、寝てないじゃん」
『寝れるわけないよ!!だって……あー!!恥ずかしい!!』
待て待て!私が小さい時ってそんな感じの子だったっけ?!
記憶を消されただとかストーカー紛いみたいな事されてた事よりも、小さい時の自分がそんなフワフワした性格だったのが恥ずかしい!!
私は一松の視線から逃れるように布団の中に潜り込んだ。目を瞑っても飛んでいった眠気はまだ戻って来ない。
それどころか瞼の裏には話をしている時に視た、一松の優しい笑顔。
っわ…何だコレ…落ち着け!落ち着け自分!
何故かざわめき始める胸に焦りながら、私はそれを抑えようと深呼吸を繰り返した。
深呼吸を続けていると、やっと胸のざわめきが収まった。
チクッ…!!
ほっとしたのもつかの間、突然左の鎖骨辺りに針に刺されたような痛みが走った。
『…痛っ!』
その痛みはジワジワと熱を帯び始め、それは段々と全身へと広がっていった。
熱さに耐えられなくなった私は布団から飛び起きる。
何…コレ…っ熱い…
風邪で高熱を出した時に似ているが、下腹部の奥が何故か変な感じがする。
「……廉?」
廉の様子に違和感を抱いた一松が近くへ寄ってきた。
『……っ…熱い…』
「…熱い?」
一松の手が私の額にそっと触れた。その瞬間、私の全身が無意識にビクついた。
「……っ!!」
一松は目を見開いて瞬時に後ずさった。鼻を抑え、顔を赤らめる一松。