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妖からの贈り物【おそ松さん】

第7章 ※出会いと別れ



脳内で混乱が止まらない一松の耳元で、廉は呟くように言った。


『ありがどう…』


その言葉は俺の心の奥深くまで染みていって、柔らかく全身に広がっていった。


「うん……俺も悪かった。その…廉がお礼に来てくれたのに…言い方がキツかったと思う…あと、これ」


廉に身体を離してもらい、懐に入れておいた煮干しの袋を取り出す。


「……ありがとう」

『あ!……それ!』


廉は俺の持っている煮干しの袋を指差して微笑んだ。俺もつられて眉の端を下げ笑った。


「ねーねー、コイツどーすんの?」


十四松が顔がパンパンに腫れた髭の妖を連れてきた。


「……十四松それやりすぎだろ」

「えー、そうかなぁー?」

「…ず、ずびばぜんでしだ」

「……兎に角、そいつ等の事はおそ松兄さん達にも報告しないと」

「俺をお呼びかな?」


背後に音もなく現れたのは、天狐であり俺達の長男でもあるおそ松だ。


「フーン…随分と暴れたようだな」

「暴れすぎでしょ」

「うわ~、十四松兄さん達容赦ないなぁ」


ついでにクソ松、チョロ松兄さん、トド松も居た。


「あー、十四松。そいつ等何処かに飛ばしといて」

「アイ!!了解ッス!!」


十四松はおそ松兄さんに敬礼して、地面に転がっている妖達を"ドッセーイ!!!"と空高く投げ飛ばしていった。


「君が…廉ちゃん?」


おそ松兄さんが廉の前にしゃがみ、優しく微笑んだ。でも何処か悲しげな表情でもある。
廉はそれに答えず俺の後ろに隠れた。


「あれ~、俺嫌われてる?」

「おそ松はスケベだからな。しかしこの神より愛されしカラ松ならば、ガールの凍った心も溶かせる事が出来るだろう」

「相変わらずイッタいなぁ」

「本当にあの子にそっくりだね。生まれ変わりか何かなのかな」


次々と喋りだすおそ松兄さん達に廉は更に俺の後ろに隠れた。


「あのさ……廉が怖がってる」


そう告げると、おそ松兄さん達は少し距離を取って自己紹介をし始めた。それを聞いていた廉が一歩ずつ前に出てきた。
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