第7章 ※出会いと別れ
「十四松…俺を飛ばせ!」
「アイ!!……ふんぬっ!!」
十四松が俺を下にいる妖に向かって投げ飛ばした。俺はその勢いを利用して、妖に一発喰らわせてやった。
地面に脚をつけると、リズム良く地面を蹴り廉の前に立ちはだかった。
『!!猫の…』
「懲りないね…お前も」
「!!…数は此方の方が上!!勝機は此方にある!!!」
そう叫んだ髭の生えた妖。その周りには体格が厳つい妖達がいた。
一人の時は俺を視た瞬間逃げてた癖に、大勢仲間を引き連れてる時は強気になるなんて……
「俺達も嘗められたな……」
「あはは~、弱いのにね!」
十四松の一言にカチンときた妖達が一斉に俺達の方に向かってきた。俺は廉を後ろに庇いながら応戦した。
十四松の方も楽しそうに妖達に立ち向かってる。
その後、俺と十四松であっという間にこの場を制した。最後にあの髭の生えた妖が残った。
「…あとは、あんただけ」
「一人になっちゃったね!どうする?まだやる~?」
「ひいぃぃぃぃ!!どうかっ、どうかっ…お許し下さい!!」
必死に命乞いをしてくる妖に、思わず十四松と目を見合わせた。いつもなら容赦無く叩きのめすが、今は廉がいる。
俺は廉に怪我が無いか確認すべく側に駆け寄る。すると廉は俺が近くに来るなり、ぎゅっと抱き締めてきた。これは流石に俺も驚く。
「廉!!何きゅっ…えっ!?触れんの!!?」
『うぐっ…ごわがっだー!!』
急に抱き締められたという驚きと妖である俺に触れるという驚きのダブルパンチを食らう。
そういえば俺の尻尾も触れてたな…って今はそれどころじゃない!!
廉を引き剥がそうと考えたが、泣き止まない廉にその気は失せてしまった。
「……おい…もう泣くなよ…」
どちらかというと戸惑いが出始めた。
そうだ、確か人間の親は子供をあやす時…こう背中をトントンって……やってたような。
俺は廉の背中に手を伸ばして、カチンと固まった。
いや無理無理無理ムリー!!!俺は何百年も生きてんだよ!?それに対して廉はまだ十数年位しか生きていなぁい!!もー、これ犯罪じゃん!!